精子は熱に弱いって本当?

回答:聖マリアンナ医科大学 岩本晃明 先生

Q12.

精子は熱に弱いと聞きましたが、本当ですか?
21歳男性

Answer

精子をつくるには低温である必要があります。人間の体温程度の温度では精子がつくれないため、精子をつくる精巣(睾丸)をほぼする陰嚢は、外性器、外から見える性器としてラジエーター(冷却機)の役割をしています。射精された精子は温度が低い環境におかれると運動が不良となります。

精子はどこでつくられる?

精子は陰嚢に包まれている精巣でつくられます。この陰嚢は女性の大陰唇にたとえられ、思春期になると色が黒ずんできて、周囲には性毛が生えてくるようになります。

精巣は直径4センチメートル、短径3センチメートルくらいの楕円形で、女性の卵巣にあたるものです。精子以外にも男性ホルモンをつくるという重要な役割もあります。

陰嚢と陰茎(ペニス)は、男性性器のうちで外からみえる外性器にあたります。なぜこのような大切な器官が、体外の無防備なところにおかれているかというと、精子をつくるには体温よりやや低い温度環境が必要であるからです。したがって、精巣が下降の途中で体内で止まってしまう病気「停留精巣」では精子がつくれないため、陰嚢まで下降することが重要なのです。

また、陰嚢の表面には多くのしわがありますが、これは熱に弱い精巣のためにラジエーター(冷却機)の役目をしています。表面積が広いほど、放熱が効率よく行えます。また、寒いときは陰嚢は収縮して、精巣を体に引きつけ、有効に保温します。

精巣は陰嚢の中に左右一対ありますが、左側が右側に比べて少し下に位置しています。さらに、精巣はしっかりした膜で保護されており、陰嚢内で動きやすいため、少々の打撲などで傷がつくことはありません。しかし、体外に露出しているため痛い目にあうことも多く、男性の急所とされています。

以上のように、陰嚢は精巣が精子を生産しやすいよう、都合のよい仕組みになっています。

精子、精液について

精子はおたまじゃくしのような形をしていて、長さは0.06ミリメートル程度しかありません。頭部は卵形で、その中に男性側の遺伝情報が入っています。

一回の射精で放出される精子は、1億~6億個もあり、この中の一個だけが卵子の中に入ることができます。精子のなかには不完全なものも多いのですが、それらは膣内に入っても卵子と結合することはありません。精子の運動が不良な場合、また精子の異常形態が多い場合には、相手の女性は妊娠しにくいといわれています。

射精後の精子の寿命は普通は1~3日ですが、まれに1週間も生き続けることもあります。

精子が射精されるときには、精液という分泌液中に混じっています。精液の90%以上は前立腺や精嚢で分泌されるアルカリ性の粘液で、白っぽく粘り気があり、栗の花のような独特のにおいがします。

精子を精液の中に包み込んで射精するというシステムには、いくつかのメリットが考えられます。精子は酸にも弱いという特徴があるため、酸性に保たれている女性の膣内を通るのにアルカリ性の防壁をつくり、精子が活動しやすい環境を整えるのです。また、膣内に射精された精子が異物として排除されない作用も有します。

このように精巣内でつくられた精子は、約2週間かかって卵との受精のためにさまざまな変化を受けることになります。

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